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オンライン金融取引事業-金融取引プラットフォームの導入方法について

最終更新日時:2025.01.10  記者:斉藤健史

オンライン金融取引事業(FX、CFD、商品先物および暗号通貨など)を開始または継続するには、様々な準備と事業体制の構築が必要となります。特にその中核となる取引プラットフォーム選定は、最重要課題となります。今回はその導入形態につき考察します。


取引プラットフォームの導入方法(はじめに)

取引プラットフォームの導入方法は、主に「自社開発」、「他社SaaS利用」、「ホワイトラベル活用」の3通りございます。各導入方法は、初期投資維持管理費、および事業拡張性が大きく異なりますので、慎重に将来展望を見据えた上で最適な方法を検討しましょう。


自社開発

文字通り自前で取引プラットフォームの企画・設計・開発を一貫して行います。取引プラットフォーム機能の改善や追加を独自に何時でも実行できる運営上の完全な自由度が確保できますが、①多大な初期投資、②営業開始までに要する開発期間分の遅延、③維持管理費の負担、そして最も重要な④当初予定していた通りに開発しきれるリソース(金融業界における知識や実務経験[*主としてマーケットやオンライン取引ビジネス]・開発力・技術力)を確保できるか、および⑤開発後に継続的に保守運営と改善・追加開発が実行可能かを見極める必要があります。自社開発の外注をお考えであれば当社サービスを是非ご検討ください。


他社SaaS利用

他社SaaS(Software as a Service)利用は、既に開発済の取引プラットフォームを導入する形で事業実施されますので、自社開発に見られる多くのデメリットから解放されます。ただし、中・長期的には自社開発よりも多くの費用負担が生じる点に十分留意する必要があります。一般的には、「ライセンス費用+維持管理費」または「初期導入・設定費+従量課金」の2パターンが主流になります。

代表的な取引プラットフォーム例として、MT4/5cTraderJiVTradeが挙げられます。


ホワイトラベル活用

ホワイトラベル(WL: White Label)とは、同業他社がオンライン金融取引事業に利用する取引プラットフォームなどを始めとする事業インフラの提供を受けて自身も同様の事業を開始できると言うビジネス・モデルです。ホワイトラベルは、主に「他社ブランド集客特化型」、「他社ブランド代理店舗型」、「自社ブランド自走運営型」の3類型に分類されますが、いずれの形態にも唯一共通する点が、ホワイトラベル提供元へ顧客の全取引フローを流すと言う特徴があります。

ホワイトラベル活用は、自社開発やSaaS利用よりも低導入費、低維持費、短期間での導入が実現可能ですが、全てはホワイトラベル提供元の能力、契約内容、両者の関係性で事業導入からその後の全ての結果が大きく左右されてしまうリスクを常に孕みます。

また、中間業者が多く介在することになるため、報酬と競争力は常にトレードオフの関係となり、如何に同業他社よりも強い動機付けを与えられるかが鍵となり、集客マーケティングや顧客の繋ぎ留めに苦労することが容易に想像されます。


他社ブランド集客特化型

他社ブランド集客特化型は、いわゆるIB(Introducing Broker)のことです。事業者に代わり勧誘活動やマーケティングを通して集客のみを行い、口座開設と取引を促します。集客者は、誘導顧客の取引数量に応じて報酬を得ることができます。


他社ブランド代理店舗型

他社ブランド代理店舗型は、いわゆるIA(Introducing Agent)のことです。事業者に代わり誘導顧客が取引した建玉リスクの管理およびヘッジ以外の業務の全部または一部を代理店として引き受けます。

引受業務内容は、ホワイトラベル提供元との協議や契約に依りますが、「口座開設」、「顧客管理」、「カスタマーサポート」、「入出金の取扱」が主な争点となります。それ等をどれだけ握れるか次第で、ホワイトラベル提供元との力関係、他協業先への乗換、または完全独立など現実的な選択肢の確保と移行実現性が大きく変わってきます。


自社ブランド自走運営型

自社ブランド自走運営型は、サービス名称、ロゴ、ホームページや取引プラットフォームなど一切の(表面的に見える)外側の看板を自社のサービスとして運営する導入方法です。建玉リスクの管理およびヘッジ以外の業務も全部を自社で担う形になります。つまり、取引プラットフォームの提供を借り受ける代わりに、当該プラットフォーム経由でなされた顧客取引は全てホワイトラベル提供元へ迂回させ、代わりに取引数量に応じた報酬を受け取る形態となります。


取引プラットフォームの導入方法(まとめ)

今回のコラムでは、オンライン金融取引事業に着手するにあたり必須となる取引プラットフォームの導入方法に焦点をあてて紹介して参りました。現実的には、法人登記、銀行口座開設、ライセンス取得、取引主体識別コード(LEI: Legal Entity Identifier)取得、リクイディティ・プロバイダー(LP: Liquidity Provider)確保、入出金方法・システム確保、マイページ構築など課題は列挙したら切りがありません。自らのニーズとゴールを明確にすることや、また時にはそれ等に精通した専門家に相談するのも一つの手でしょう。


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