オンライン金融取引事業(FX、CFD、商品先物および暗号通貨など)を開始または継続するにあたり、レートの配信(フィード)方法およびその質は、取引プラットフォーム選定と同じく非常に重要な課題となります。
オンライン金融取引事業(FX、CFD、商品先物および暗号通貨など)を開始または継続するにあたり、レートの配信(フィード)方法およびその質は、取引プラットフォーム選定と同じく非常に重要な課題となります。
流動性アグリゲーションとレート配信は、取引プラットフォーム上に対象銘柄の気配値を提示すると言う 単純なものではありません。 オンライン取引事業の運営経験が長い方ほど強く首肯して頂けるのではないでしょうか。
流動性アグリゲーション(Liquidity Aggregation)は、金融市場における 情報の即時性および正確性と取引の競争優位性 を確保する上で、今日ではプロ投資家にとって一つの必須対応事項となっています。
流動性アグリゲーションとは?
流動性アグリゲーションとは、2以上の異なる複数リクイディティ・プロバイダー(LP: Liquidity Provider)から、①流動性(取引可能気配値Bid/Askおよび取引可能数量Qty)の提示を受け、②最良執行順位と真の市場中心値を把握し、③専ら自らのための板画面(Market Depth / Ladder)をプログラム生成し、④自らの取引または第三者への流動性二次提示に用いることである。
流動性アグリゲーションのメリット
上質な流動性アグリゲーションを実現することで、その金融技術および特性上、理論的には①他の競争者 より早く正確 な金融市場情報を得られ、②他の競争者 より豊富な流動性 を確保でき、③他の競争者 より素早く投資・売買の意思決定と発注が可能 となり、④他の競争者 より万全な備え (市場急変時の対応)ができ、⑤他の競争者より事業拡大をし易い などのメリットを享受することができます。
流動性アグリゲーション上の留意点
流動性アグリゲーションは、大別して通信面と技術面 に留意する必要があります。前者で一般的なものとして、通信レイテンシー(Latency)を最小化するためのコロケーション(Collocation)およびクロスコネクト(Cross-connect)が、一方、後者としてはフィルタリング機能の活用やリクイディティ・ミラージュ(Liquidity Mirage)などが挙げられます。
フィルタリング機能を活用し、レート遅配、バッド・ティックやリクイディティ・ミラージュ(実際には約定させる意図の無い囮の流動性提示。競合マーケット・メイカー間で見せかけ上の競争力誇示やマーケット・メイカー側に有利な状況のみ約定させるなどが典型例です。)などを排除することで真の市場中心値を導き出します。フィルタリングのロジック構築や設定次第でレートの質が大きく異なってきます。 また、併せてラストルック・ポリシー(Last-Look Policy)にも留意すると良いでしょう。ラストルック・ポリシーとは、マーケット・テイカーが注文を発注してからマーケット・メイカー側のサーバーへ注文情報が伝達するまでの間、市場は常に変動しており、着信時マーケット・メイカーが不利になる場合(※マーケット・テイカーが予め設定した許容スリッページ分も当然に考慮される。)は約定拒否をします。 つまり、マーケット・テイカーが発注した価格を単純にそのまま約定させるのではなく、マーケット・メイカー側のサーバーへ注文情報が着信した際にあらためて約定可否の最終審査・見直しを行う仕組みです。 通信面の詳細は、次回コラム『高頻度取引HFTとは?』に譲ります。レート配信(フィード)の方法は、①API経由、 ②ブリッジ経由、および③アグリゲーター経由 の3つに大別されます。
API(Application Programming Interface)経由
主としてLP側より FIX(Financial Information Exchange) APIの提供を受け、(何も手を加えずに)直接、 任意の第三者システムへの接続を試みることで情報取得・配信します。
ブリッジ(Bridge)経由
主としてLP側よりFIX APIの提供を受け、(単純にワンクッション嚙ませて)間接的に、任意の第三者システムへの接続を試みることで情報取得・配信します。これは、LP側と第三者システムとの間で異なるプログラム言語が使用される場合に機械翻訳的な役割を果たします。代表例として、MT(Meta Trader) 4/5が挙げられます。
アグリゲーター(Aggregator)経由
主としてLP側よりFIX APIの提供を受け、(レート・フィードを上質化させて)間接的に、 任意の第三者システムへの接続を試みることで情報取得・配信します。
【ご参考】お勧めアグリゲーター:AURORA
今回のコラムでは、掲載トピックにつき抽象的ではありますが非常に大切な論点ですので特集させて頂きました。取引プラットフォーム選定と同様に事業運営上の根幹を成す最重要部分であり、中・長期的な収益性や事業継続性を決定付ける唯一絶対要素と言っても過言ではありません。これを機に今一度、再検討・点検されてみては如何でしょうか。
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